棒と玉と穴。
『Yes we beans.』
地元の駅前にパピーというデパートがあった。
今は石井組だかなんだか書かれたバリケードが張り巡らされているただの跡地だけれど。
どうして解体されたのかはもう覚えてないけれど、あのパピーにはなんでも揃っていた。
ゲームセンターも映画館も紳士服もコナカも何もかもあった。
自然とその場所はあらゆる人達が集う場へと変わり、俺たちのたまり場は秀のおばあちゃんがやってる美容院オギノ側の入り口前だった。
その場所は代々先輩達から受け継がれる謎のスペースで、1時間に1度警備員が注意に来ては追い返されるという流れを一般人に披露して楽しむのが粋なヤンキーレペゼン富士。
俺はパピーという夜の学校で多くのことを学んだ。
そのひとつがビリヤード。
中学の頃はほぼ毎日学校帰りにパピーへ寄って友達とビリヤードで賭けをしていた。
基本的にみんな誰かに借金している連中の集まりなので、やる気が違う。
そしてそんな時に人は自分をさらけ出すんだろう。
トロイはルールに厳しい。そしてフェアな男だ。
「 いいか、イクゾウ? こーの、玉を、あーの、穴に、こーの、棒で、、Let's Go!!!!」
トロイはいつもゆっくり話してくれるので嬉しい。
そして海外では基本的に統一されているルールを教えてもらった。
" ブラックボール "
ルールはとてもイージーで、まず最初に自分がぶち込んだ玉と同じ柄の玉を次から狙い続ければいいだけ。
玉には単色のものとストライプのものがあるので、簡単に見分けがつく。
そして注意しなくてはいけないのが、8という数字の書かれた黒い玉。
この玉を最後にぶち込めば勝ちとなるのだが、まだ他の玉が台の上にある状態でぶち込んでしまうとその時点で負けとなる。
俺の現在の勝敗はトントンてところ。
しかしまだ俺は何かルールを誤解しているらしく、プレー中に誰かがいきなり怒ったりする。
そんな感じでまだまだ馴染めてはいないけれど、こんなビリヤードのあるバーなんてこの先どこにでもある。
ここには似たような人間が集まるし、少しの会話でもなにか分かりあえるものがある。
通えばきっといい学校になるだろう。
ところでオーバーステイ。
ーー English ーー
free ball.
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