”My name is Ikuzo from Japan”

- それ以外の英語は話せません -

チェックアウト

路上を終えて帰ってきた宿の前でギターを弾いた。

最初の1度だけワッツアップと言ったきり、それ以来話すこともなかった人と仲良くなった。

でも俺は明日この宿をチェックアウトする。



みんなから輪投げのように飛んできたリクエストをシコシコこなしていると、そこにどうみてもワッツアップなトロイがやってきた。
今ケバブを食べてきたよと口からレタスを出して笑っている。

俺も30分後トロイと一緒にレタスを出しながら街へ繰り出した。


適当にふらついていると見覚えのあるバーがあった。
そのお店の前にはキムが座っていた。


キムとはこの前どっかで歌ってた時に仲良くなって、そのまま彼の職場であるこのバーで一杯奢ってもらった。

おまけにタバコを買おうとしたらマルボロ好きっしょ?みたいに言われてうんて言ったら買ってくれた。

俺はキムに友達のトロイを連れて今度飲みに行くよと言って別れた。



ちょっと忘れてたことを謝りながらお店に入るかたちでキムもワッツアップ。


レタスを出しながら3人でいろんな話をした。

キムは明日俺が引っ越すブンタウという海沿いの街で生まれ育ち、今はこのバーで働きながらお金を貯めていて、大学卒業後はアメリカで暮らすんだそう。

死ぬまでアメリカにいたいと言っていた。


トロイはオーストラリアのメルボルンにある会社に勤めている。

どっからどうみても真面目そうなやつで、最近俺達が同い年だと知ってボソッと「ビューティフォー」と言うぐらいただの優しいやつだ。

トロイはシャイなやつで、公園でギターの練習をしてる時、自分の目の前を人が通るたびに声のボリュームが下がって加速した。


「人が見ていると思うと、気絶しそうになるんだ。」

でも、もう俺の前では加速しなくなった。



キムとトロイと別れ、それぞれに約束を交わした。

キムにはまたホーチミンへ戻ってくるよと。

トロイとは何も言わずにエアギターを構えて笑った。


ーー English ーー

Holiday sorry man.

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